LIVE AT MADISON SQUARE GARDEN 1978
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DVD
START OF CONCERT RECORDING (AUDIO ONLY)START OF BROADCAST -VIDEO
- Opening(*) / Sweet Dream [from LIVING IN THE PAST]
- One Brown Mouse [from HEAVY HORSES]
- Heavy Horses [from HEAVY HORSES]
END OF BROADCAST - VIDEO (DURING LOCOMOTIVE BREATH)
- Opening
- Thick As A Brick [from THICK AS A BRICK]
- No Lullaby [from HEAVY HORSES] / Flute Solo including God Rest Ye Merry Gentlemen and Kelpie [from LIVE BURSTING OUT]
- Pibroch (Intro) / Songs from the Wood [from SONGS FROM THE WOOD]
- Band Intro
- Quatrain [from LIVE BURSTING OUT]
- Aqualung [from AQUALUNG]
- Locomotive Breath [from AQUALUNG] / Dambusters March [from LIVE BURSTING OUT] / Instrumental including Drum Solo(*)
ENCORE
- Too Old to Rock 'N' Roll: Too Young to Die [from TOO OLD TO ROCK 'N' ROLL: TOO YOUNG TO DIE!]
- My God / Cross-Eyed Mary [from AQUALUNG]
- Locomotive Breath / Dambusters March / Aqualung (reprise)
CD
(*) Previously unreleased
- Opening(*) / Sweet Dream
- One Brown Mouse
- Heavy Horses
- Thick As A Brick
- No Lullaby / Flute Solo including God Rest Ye Merry Gentlemen and Kelpie
- Pibroch (Intro) / Songs From The Wood
- Quatrain
- Aqualung
- Locomotive Breath / Dambusters March / Instrumental including Drum Solo(*)
- Too Old to Rock 'N' Roll: Too Young to Die
- My God / Cross-Eyed Mary
Information
概要
ロック史上初の衛星中継ライヴとなった1978/10/9のMSGでのライヴ映像&音源。70年代後期の最も脂が乗った時期のJETHRO TULLのライヴが十二分に堪能できる必携盤。
リリース年
2009年
アルバム種別
ライヴ盤
メンバー
#7.1 1978 Vo, Flute, G, Key G, Lute B, Vo Ds Key, Vo Key, Sax, Vo Ian Anderson
イアン・アンダーソンMartin Barre
マーティン・バーTony Williams
トニー・ウィリアムズBarriemore Barlow
バリモア・バーロウJohn Evan
ジョン・エヴァンDavid Palmer
デイヴィッド・パーマー
個人的評価
-- Highly Recommended !
Review
背景
1977年のSONGS FROM THE WOODが好セールスとなり(全英第13位/全米第8位)、JETHRO TULLは精力的なツアー及びプロモーションを行っていた[1]。1978年のHEAVY HORSESも引き続き市場で好意的に迎えられ(全英第20位/全米第19位)、同年には70年代TULLの集大成ともいうべきライヴアルバムLIVE BURSTING OUT(全英第17位/全米第20位)をリリースする。勢いに乗ったTULLは1978/10/9にニューヨークはマジソン・スクエア・ガーデン(以下MSG)より英国へロックバンド初となる衛星生中継ライヴを行った。放映したのはBBC2の音楽番組、The Old Grey Whistle Testである[2]。
MSGには2万人の観客が入っていたが、潜在的なオーディエンスであるTV視聴者を含めればまだ多い。本作はその模様を収めたJETHRO TULL史上の金字塔と言うべき作品である。
実は前日もMSGでライヴを行っていたのだが、ライヴ中にステージ後部の観客席より金属のボルトが投げられ、さらには爆竹まで鳴らされるアクシデントがあり、この日のライヴは中止が危ぶまれたらしい。観客の狂乱ぶりはこの日も同様で、TULLの大人気ぶりがうかがえる。
この米ツアーでは、病身のJohn Glascockに代わり、バンドの旧友Tony Williams(ex. STEELERS WHEEL)がベースを弾いている[3]。John Glascockのプレイを完コピしたらしい[4]。
概要
多くのファンが全盛期とする時期の貴重な映像というだけではなく、生放送に使われた、正真正銘の生ライヴというところにも本作の価値がある。もっとも、後述するようにDVD化にあたり若干の音の補正はあるのだが、オーバーダブはない。それでいてバンドは最高の演奏を聴かせるのだからたまらない。LIVE BURSTING OUTが人工的であることを考えると特に、だ。
ライヴは3部構成となっており、テレビ放映されたのは第2部にあたる。DVDのリリース情報が流れたときは全編の映像化かと思われたが、実際には放映部分と同じ第2部 -- 4(Opening)から11のドラムソロが入るまで--のみの映像のみで、あとは音声をバックに静止画があるだけである。生放送なので実際に録画されたのがこの部分しかなかったのだろう。
もっとも、映像はブートレグで流れていて以前からファンの間では有名で、また20周年ビデオ等の過去の映像作品でたびたび引用されてきた。
ところどころ画像がぶれるが、20周年ビデオ等で使われている映像の同箇所にはぶれがないのでマスターが違うようだ。おそらく本作がオリジナルマスターなのだと思うが。
CDはDVDと同音源だが、収録時間の関係か曲間のMCとアンコールがカットされている。
また、Ian Andersonと当時のマネジャーで本イベントの仕掛け人だったTerry Ellisのライナーノーツが同封されている。
楽曲解説 - 第1部
コンサートはトラッド風のバックミュージックで幕を開ける。おそらく、David Palmerの曲だろう。メドレーになる形で1(Sweet Dream)になだれ込む。LIVE BURSTING OUTと異なり、Ian Andersonがフルートを使っていない。
次からは、ニューアルバムの曲が続く。2(One Brown Mouse)はLIVE BURSTING OUTにも収録されていが、ここで本作最大の聴きものの3(Heavy Horses)となる。何らかの事情でLIVE BURSTING OUTには収録されなかった名曲だ。この後もライヴではプレイされ続け、オフィシャルリリースされている音源もあるが[5]、Barrie Barlowがドラムを叩いているバージョンは今回が初出である。やはりこの曲はBarlowのドラミングあってこその名曲であることを痛感する名演中の名演なのだが、残念ながら映像はない。本作で最も残念に思うところだ。しかし、Barlowが叩いている"Heavy Horses"のライヴ映像はどっかにあるはずだ。ね?Anderson先生?
ここで第1部終了。メンバーはいったん引っこむ。ちなみにここまででAndersonはフルートを手にしていない。たぶん、第2部を盛り上げるため、わざとだ。
楽曲解説 - 第2部
第2部から映像あり。いかにもここからコンサートが始まるようなふりをしているが・・・
5(Thick As A Brick)は20周年ビデオ、そしてTHICK AS A BRICKリマスター盤のボーナストラックで既出である。ただ、両者で一部ヴォーカルに相違があったことについては諸説あったが、エフェクトがかかってダブルトラックになっておりどちらをメインに据えるかのミキシングの違いであったことが判明した。この曲で初めてフルートを取り出すが、第1部で封印していたため観客は盛り上がっている。演奏はタイトで、歴代Brickの中でも最高の出来ではないかと思う。
6(No Lullaby)は途中から別のインスト曲になる。おなじみのフルートソロ、そしてトラッド風インストへと展開する。このインストは後に"Kelpie"[6]となるが、"Kelpie"自体は長く日の目を見ず、引き続きフルートソロなどで引用され続けることになる。ここでテレビ受けしそうにない長いインストを持ってきた理由だが、予期せぬトラブルで放映時間が押したり巻いたりしたときのためのバッファではないかなあ?
7(Songs from the Wood)はDavid PalmerとJohn Evanのキーボードデュオによる"Pibroch"がイントロにくっついている。このイントロを除いては20周年ビデオで既出である。はじめてこの映像を見たときこのおっさん何なんだ?とびっくらこきました。ふざけているようで演奏はバカテクでほぼ完璧なプレイ。20周年ビデオではコーラスからもどるときにオルガンのミストーンが聞こえたのだが、本作では除去されている。ミスが残っていた方が臨場感があったのに残念だ。
ここでメンバー紹介。Ian Andersonが超上機嫌。たぶん演奏の良さの手ごたえがあったのだろう。
コンサートはクライマックスへ。LIVE BURSTING OUTと同じく9(Quatrain)をイントロに10(Aqualung)。この10(Aqualung)も20周年ビデオで既出。全員絶好調である。
11(Locomotive Breath)ではフルートソロでアクシデントがある。曲のアレンジはやや変則的。LIVE BURSTING OUTと同様に"Dambusters March"に入りフィナーレのバルーン飛ばし、このまま終わりかと思いきやJohn Evanのピアノソロに入る。放送はこのあたりで終わったようで、おそらくピアノソロも放送時間調整のためのバッファと思われる。
映像自体はまだ少し残っており、ピアノソロから今回初登場となる未発表のインスト曲に入る。リフは"Locomotive Breath"の変奏みたいだが、ピアノがElton Johnっぽいかな?なんか歌謡曲でもこんなリフがあったような気も。Barrie Barlowのドラムソロをフィーチャーしたなかなかの佳曲である。ラストが特にカッコイイ。Ian Anderson抜きだと特に力が入ってないか?みんな。
映像はドラムソロの手前で途切れる。ここからが第3部である。
楽曲解説 - 第3部
ここからは再びMSGの観客のためのライヴとなる。しかし成功裏に終わった放映中の勢いは衰えない。12(Too Old to Rock 'N' Roll: Too Young to Die)、メドレーの13(Too Old to Rock 'N' Roll: Too Young to Die)と続き、再び14(Locomotive Breath)がプレイされる。おそらくイントロが若干カットされている。Barrie Barlowが大暴走する中、おなじみのインストに移る。おそらく、再びバルーン飛ばしをやっているのだろう。今回はきちんと"Aqualung"の引用で締め、本当のフィナーレを迎える。
John GlascockとTony Williams
この日のオープニングアクトはJohn Lawtonを擁したURIAH HEEPだった[7]。後年HEEPのライヴにIan Andersonがゲスト参加したのはこのツアーからの縁によるものかもしれない。皮肉にも病欠のJohn GlascockはKen HensleyからのおそらくはURIAH HEEP加入の誘いを断ったことがある[8]。
また、Tony Williamsいわく、「我々が北米をツアーしていたとき、毎晩Ritchie Blackmoreなんかが2、3列目にいた。彼は(TULLの)大ファンだったんだ。」[9]ということはこの日もいたのかもしれない。BlackmoreはちょうどRAINBOWが崩壊状態にあったときで、これまたJohn Glascockを誘ったりしていた[10]。次のDOWN TO EARTHでIan Andersonのメゾン・ルージュ・モービルスタジオを利用することになるので、そのへんのビジネス的な話もTULLサイドとあったのかもしれない。
Tony Williamsはこのツアーのみの代打で、次のツアーではいったんJohn Glascockが復帰する。しかし全快するに至らず、この稀代の名手は惜しくも夭逝することとなる。
Williamsはセミプロの活動を続けるが、2008年にSTEELERS WHEELを再結成する。また、2007年にはブラックプールの市議会議員にもなっている[11]。
[1]--この頃Ian Andersonはプロモーションのため来日までしている。
Notes
[2]--Ian Anderosnのライナーノーツにはこのあたりの事情や苦労が書かれている。
[3]--ブラックプール育ちでBarrie BarlowやGlenn Cornickとバンドを組んでいた。また、TULLの2代目ギターリストのオーディションを受けている。Espinoza, Barbara. DRIVING IN DIVERSE: A COLLECTIVE PROFILE OF JETHRO TULL, Morris Publishing (1999) et al.
[4]--Rees, David. MINSTRELS IN THE GALLERY - A HISTORY OF JETHRO TULL, Firefly (1998), P83
[5]--JACK-IN-THE-GREEN - LIVE IN GERMANY 1970-93 DVD et al.
[6]--1979年のSTORMWATCHのアウトテイク。20周年BOXで公開された。リマスター盤STORMWATCHにも収録。
[7]--Anderson, Ian. Liner Notes
[8]--Russo,Greg. FLYING COLOURS: THE JETHRO TULL REFERENCE MANUAL, Crossfire Publications (2000), P98
[9]--Tony Williams Interview, Espinoza, Barbara. DRIVING IN DIVERSE: A COLLECTIVE PROFILE OF JETHRO TULL, Morris Publishing (1999), P117
[10]--Popoff, Martin. RAINBOW ENGLISH CASTLE MAGIC, Metal Blade Records inc. (2005), P92 et al.
[11]--1st August 2010, Blackpool Cuncil - Councillors, http://www.blackpool.gov.uk/Services/A-F/CouncillorsInformation/Councillors.htm?cid=48
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