TOO OLD TO ROCK'N'ROLL:TOO YOUNG TO DIE!
/ ロックン・ロールにゃ老(とし)だけど死ぬにはチョイト若すぎる

東芝EMI TOCP-67184(Remastered/紙ジャケ)
Chrysalis 7243 5 41573 2 5 (Remastered/EU)
TOO OLD TO ROCK'N'ROLL:TOO YOUNG TO DIE!
  1. Quizz Kid
  2. Crazed Institution / 狂人協会 (キチガイ病院*)
  3. Salamander
  4. Taxi Grab / タクシー泥棒 (盗んだタクシーでホイサッサ*)
  5. From a Deadbeat to an Old Greaser
  6. Bad-eyed and Loveless ( / 性悪でつれない女*)
  7. Big Dipper ( / カミナリ・ジェット(ビッグ・ディパー)*)
  8. Too Old to Rock'n'Roll:Too Young to Die / ロックン・ロールにゃ老だけど死ぬにはチョイト若すぎる
  9. Pied Piper
  10. The Chequered Flag(Dead or Alive)
Remastered Edition Bonus Tracks
  1. A Small Cigar
  2. Strip Cartoon
*リリース当初の邦題。原文ママ。

Ian Anderson Vocals,Acoustic guitar,Flute,Harmonica,Occasional electric guitar and percussion
Martin Barre Electric guitar
John Evan Pianos
Barriemore Barlow Drums and Percussion
John Glasscock Bass and Vocals

Special thanks to:--
David Palmer who in addition to conducting and arranging for the orchestra,played the late-night sax solo on "From A Deadbeat to an Old Greaser"
Maddy Prior who sang on "Too Old to Rock'n'Roll:Too Young to Die"
Angela Allen who sang on "Crazed Institution" and "Big Dipper"
Ray Lomas for the use of the name Ray Lomas

All songs written by Ian Anderson
Produced by Ian Anderson


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私的アオリ


ジェフリー・ハモンドを失ったJETHRO TULLは、前座を務めていたバンドCARMENのベーシスト、ジョン・グラスコックを新メンバーに迎えた。グラスコックはバリー・バーロウと親しくなっており、彼の推薦といわれている。
グラスコックはTHE GODSやTOE FATでキャリアを重ねたベテランで、TULLに中途加入したメンバーとしては初のレコーディング経験者であった。前任者のハモンドより数段上のテクニックを持つ彼が加わったことにより、TULLのリズムアレンジは複雑になってゆく。

一方このころイアン・アンダーソンは、JETHRO TULLの活動とは別に、デイヴィッド・パーマーとともにミュージカルの制作に取り掛かっていた。ミュージカルはアダム・フェイスを題材にしたものであったが、諸般の理由により頓挫してしまった。(アダム・フェイス本人の出演がブッキングできなかったためとも言われている。)
しかしアンダーソンは、頓挫したミュージカルに用意した楽曲群を放棄せず、新たなJETHRO TULLの作品として昇華した。これが1976年にリリースされた、老いたるロックンローラーを主人公にしたトータル・コンセプトアルバム、「TOO OLD TO ROCK'N'ROLL:TOO YOUNG TO DIE! / ロックン・ロールにゃ老(とし)だけど死ぬにはチョイト若すぎる」である。英では第25位、米では第14位までチャートを昇った。

このアルバムでは、今は落ちぶれてしまった老いたロックンローラー"レイ・ロマス"を主人公に、彼がかつての栄光を取り戻していく様が描かれているが、そこには明らかにイアン・アンダーソン自身の姿が投影されており(ジャケットを見ても一目瞭然)、全編JETHRO TULL風ブラックユーモアで覆われている。ただトータルコンセプトアルバムをうたってはいるものの各曲が独立しているため、コンセンプト何ちゃらを抜きにして十分聞きやすい。

コンセプトアルバムとはいえ曲を聴いただけではストーリーは良くわからず、付属のアメコミによってようやく理解できる。というか、アメコミのBGMがこのアルバムといったところか。コンセプトは当時パンクが盛り上がりつつあった英国の音楽シーンに対するアンダーソンからのメッセージと言われている。楽曲は、ブルースをベースにした小気味よいハードロックと十八番のアコースティックピースから成り、特に奇抜な邦題のタイトルトラックは有名。それぞれの曲は良く出来ていると思うのだが、アルバム全体としては、他のアルバムと比べ何か物足りないというか、散漫な感じもする。そういえば前作もこんな感じだった。ブリティッシュロックシーンの停滞やバンド内人間関係の軋轢がアンダーソンに「迷い」をもたらしていた時期、だったのだろうか・・・

バンドぐるみで交友を深めていたSTEELEYE SPANのマディ・プライアや、グラスコックのCARMEN時代の同僚アンジェラ・アレンがゲスト参加している。また、これまでアレンジャーとしてバンドを支えていたデイヴィッド・パーマーがゲストだが始めてプレイヤーとして参加している(サックスだけど)。そしてリリース後に正式メンバーとなる。「キーボード」プレイヤーとして。

ボーナストラックはそれぞれ「NIGHT CAP」「20周年BOX」からで、このアルバムのアウトテイク。レア度は低い。
なお、"レイ・ロマス"とはパーマーの知人の名前。


Note:
#日本盤紙ジャケにはアメコミの日本語訳も付いている。
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