NOTHING IS EASY:LIVE AT THE ISLE OF WIGHT 1970
/ ナッシング・イズ・イージー 〜ライヴ・アット・ザ・アイル・オブ・ワイト 1970〜


NOTHING IS EASY:LIVE AT THE ISLE OF WIGHT 1970

  1. Introduction - "Just an old guy having fun" / イントロダクション
  2. Festival opens / フェスティヴァル開催
  3. Sound Check - "Fences Ruin The World" / サウンドチェック
  4. Bouree / ブーレ [from STAND UP]
  5. Jethro Tull - Stage Introduction & Tuning Up / ステージ紹介、チューニング
  6. My Sunday Feeling / 日曜日の印象 [from THIS WAS] complete
  7. The Orgins of Jethro Tull - The Only Rock And Roll Flute Band / ジェスロ・タルの起源〜唯一のフルート・ロック・バンド
  8. A Song For Jeffrey - The Rolling Stones' Rock and Roll Circus / ソング・フォー・ジェフリー(ロックン・ロール・サーカス) [from THIS WAS] complete
  9. The Phallic Flute / ファリック・フルート
  10. Ian Anderson Banter / イアン・アンダーソンのステージ・トーク
  11. My God / マイ・ゴッド [from AQUALUNG] complete
  12. Something Different About Jethro Tull / 異なるテーマを持ったロック・バンド
  13. Dharma for One / ダーマ・フォー・ワン [from THIS WAS] complete
  14. Tension And Violence At The Festival / 緊張と暴力
  15. Nohing Is Easy / ナッシング・イズ・イージー [from STAND UP] complete
  16. "A Festival With All Stops Pulled Out" / 暴走を生んだフェスティヴァル Encore Medley Intro / アンコール・メドレー紹介
  17. We Used To Know / For A Thousand Mothers / ウィ・ユースト・トゥ・ノウ / フォー・ア・サウザンド・マザーズ [from STAND UP]
  18. A Watershed Time - Hippies vs. Establishment / ウォーターシェッド・タイム - ヒッピー vs エスタブリッシュ

DVD(Region2) DVD(Region1)+CD

Information

Release Info
2004年/DVD
Audio:DTS 5.1, Dolby Surround 5.1, Dolby Digital Stereo

メンバー

#3 1970
Vo,Flute,G etc. G B Ds Key
Ian Anderson
イアン・アンダーソン
Martin Barre
マーティン・バー
Glenn Cornick
グレン・コーニック
Clive Bunker
クライヴ・バンカー
John Evan
ジョン・エヴァン

#1.1 1968 -Rock and Roll Circus-
Vo,Flute G B Ds
Ian Anderson
イアン・アンダーソン
Tony Iommi
トニー・アイオミ
Glenn Cornick
グレン・コーニック
Clive Bunker
クライヴ・バンカー


個人的評価
-- Highly Recommended !


Review

背景

JETHRO TULLは1969年のウッドストックへの出演をオファーされたもののギャラが安くて断ったという失敗?があったが[1]、その反省があったのか1970年8月30日のワイト島フェスティバルには出演し熱気あふれる演奏を繰り広げている。
シングル"Living in the Past"(全英第3位)[2]とそれに続くセカンドアルバムSTAND UP(全英第1位/全米第20位)が大ヒットしたことでJETHRO TULLはスターダムへと駆け上がることになる。サードアルバムBENEFIT(全英第3位/全米第11位)はセールスこそ前作に及ばなかったもののTULLの人気自体への影響はなく、ツアーでもヘッドライナーを務めるようになってゆく。このワイト島ライヴはベストセラーAQUALUNG(全英第4位/全米第7位)リリース前の、彼らがスターダムを駆け上がるその姿を収めたライヴである。

解説

はじめにはっきり断っておくと、このワイト島ライヴの映像版は完全版ではない。おそらくはテープは完全には残っていなかったのだろう。そして、その穴を埋めるためであろう、ワイト島ライヴのドキュメンタリー映像とIan Andersonの回顧インタビュー、さらに必要性を全く感じないがTony Iommi在籍時のRock and Roll Circusの映像まで入っている。演奏は大舞台だけあってかやや固いが、初期の特徴である若さに任せた熱気あるライヴが堪能できる。しかし前述のドキュメンタリー&インタビューがかなりの部分を占めるので、英語が堪能でない方は少々値は張っても字幕入りの日本盤を購入することをお勧めする。
初期TULLの一番の特徴は、何といってもIan Andersonの凄まじいばかりのステージアクションである。これまでも断片的にその姿は公開されてきたが、本作では何曲にもわたってそれが堪能できる。TULLのステージは、ロックファンを自認する人には是非見てもらいたい。また、当時のAndersonのMCと現在のインタビューとでアクセント(口調)が変わっているのはブリティッシュロックマニア的には見どころかも。

収録曲

ワイト島ライヴ本編の映像は、全8曲のうち、5曲の映像が収録されている。この時点で最新作だったBENEFITからの演奏が一曲も入っていないというのは・・・[3]。17(We Used To Know / For A Thousand Mothers / ウィ・ユースト・トゥ・ノウ / フォー・ア・サウザンド・マザーズ)はメドレーのブリッジに演奏されていたMartin Barre作のインスト"Guitar Solo"が大幅にカットされているだけなので、曲としてはコンプリート収録といって良いと思う。また、4(Bouree)はリハーサル映像の一部が収録されているが、音はライヴ本編のもののような気がする。
6(My Sunday Feeling / 日曜日の印象)についてはオムニバス盤で先行公開されており、JETHRO TULLを紹介する映像としてたびたび引用されてきたもの。中間部でMartin Barreがかなり外したソロを弾いており、この時期の彼の力量不足がはっきりとあらわれている。後半で調子が上がるもののライヴ全編通してBarreの調子はあまり良くない。一方でリズムセクションの二人のテンションは高い。Glenn Cornickはこのツアーが終わると解雇されるが、その理由が決してプレイヤーとしての力量ではないことが理解できる[4]
11(My God / マイ・ゴッド)はリリース前のAQUALUNGから。曲としてはほぼ完成しているが、アルバムのバージョンよりも演奏はずっとアグレッシブで、中間部とラストのフルートソロもずっと長い。Andersonのハッタリを効かせたRoland Kirkばりのフルートソロを鑑賞できる。
この後でフィルムに欠落があったようで、"With You there to Help Me / By Kind Permission of""To Cry You A Song""Bouree"を飛ばして13(Dharma for One / ダーマ・フォー・ワン)へ。
13(Dharma for One / ダーマ・フォー・ワン)はClive Bunkerのドラムソロ用の曲。バンド全員で"dharma--"とコーラスを取る部分があるのだが、音声がうまく取れていないようだ。ここでのBunkerのソロは素晴らしい出来である。
15(Nohing Is Easy / ナッシング・イズ・イージー)は25周年ビデオ/DVDで一部公開されていたが、画像へのノイズの入り方が違うところからみて、別マスターだったようだ。こちらの方が画質が良い。しつこいアレンジが特徴だが、キーボードが入ってそのしつこさが増している。
17(We Used To Know / For A Thousand Mothers / ウィ・ユースト・トゥ・ノウ / フォー・ア・サウザンド・マザーズ)は前述のとおりブリッジ部分がカットされている。しかし、そのおかげで全体がすっきりしている。"We Used To Know"はEAGLESの"Hotel Carifornia"にパクられた問題の曲。ちなみに"For A Thousand Mothers"は2005年の来日公演初日のオープニング曲だった。
8(A Song For Jeffrey - The Rolling Stones' Rock and Roll Circus / ソング・フォー・ジェフリー(ロックン・ロール・サーカス))はオムニバス盤で既出。Tony Iommi加入時の映像ということで貴重ではあるが、ワイト島ライヴとは全く関係がなく、埋め合わせでしかない。

その他

完全版でないことと決してバンドが絶好調ではないことが惜しまれる。どうということないMCまで収録しているところからみて、残っている映像は絞り出しましたという誠意は感じられるが、8(A Song For Jeffrey - The Rolling Stones' Rock and Roll Circus / ソング・フォー・ジェフリー(ロックン・ロール・サーカス))を入れるくらいなら、ブートで有名なTanglewoodのライヴ映像やBBC映像等まだこの時期の映像はあるのでどうにかならなかったのだろうか。
インタビューとドキュメント映像は、穴埋めというだけでなく当時の雰囲気を疑似体験させることでワイト島ライヴをより臨場感をもって鑑賞させようという演出であるとも感じられる。ただ、インタビューは出来れば当時のメンバー全員(そしてドキュメント映像にも登場するマネジャーのTerry Ellis)からも取ってほしかった。特にリズムセクション組は喜んで話すと思うけど。
DVDにはフォトギャラリーも付いているが、なぜかDVDリリース頃の写真である。また、CDもリリースされているがこちらはすべての演奏曲が入っている。ただしインタビューはなく、MCもかなりカットされている。


Notes

[1]--Terry Ellis Interview, JETHRO TULL - THEIR FULLY AUTHORISED STORY - DVD
[2]--後の1973年に米で11位のヒットとなる。
[3]--"To Cry You A Song"が音声のみ入っている。
[4]--解雇の理由はロックンロールなライフスタイルをIan Andersonに嫌われたためと言われる。Glenn Cornick Interview, JETHRO TULL - THEIR FULLY AUTHORISED STORY - DVD etc.


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