元々は結成25周年を記念して1993年にリリースされたビデオだが、2003年にいきなりDVDで再発された。再発にあたり隠しボーナストラックとしてこれまで未発表だったFrench TVの"The Witch's Promise"が追加収録されている。ただし、5.1chなどDVDなりの気を利かした編集はされていないようだ。
本作は、1993年にロンドンで開かれた結成25周年を祝う歴代メンバーのほとんどが集まったパーティの模様に、過去にライヴやプロモ映像をはさみ込む形で編集されている。
さすがに四半世紀という長さは容姿に露骨に反映するようだ。第一期のメンバーが勢揃いしているが、あらためてバンドの歴史の長さを実感してしまう。みな英国のどこにでもいそうなオヤジである。もっとも第一期なんてグループショットからして老人メイクだったのだが。ちょっと感動してしまったのがクライヴ・バンカーとグレン・コーニックの再開シーンで、会うのは何年ぶりなのだろうか。
その他にもすっかりビジネスマンぶりも板につきかつてのキテレツぶりは影を潜めたジョン・エヴァンズ氏や、すっきりしたバリー・バーロウの姿もある。1993年当時のメンバーからはイアン・アンダーソン、マーティン・バー、デイヴ・ペグ、ドーン・ペリーが参加。ただ参加はしていたがインタビューではでは紹介されなかった人物もいるようだ。私が判別できた限りでは、出席している旧メンバーは下記の通り。
ミック・エイブラハムズ。グレン・コーニック。クライヴ・バンカー。ジョン・エヴァンズ。ジェフリー・ハモンド。バリー・バーロウ。トニー・ウィリアムズ。
また、ポール・バージェスとマート・オールコックらしき人物もいる。
あと、リック・サンダース似の男も・・・メンバーじゃないが。字幕では13人が集まったということで、このサンダース似の男を除けば13人になる。
欠席確実なのはエディ・ジョブソン。なぜならデイヴ・ペグがエディがいたらよかったのにとか何とか言ってるから。
本作は実際のところこのパーティでの各人へのインタビューがメインで、そこにちょこちょこと過去の映像が挿入されるというつくりになっている。正直、英語が分からないとつらいと思う。さらに過去の映像自体がレアなものばかりというわけではないというのもイマイチなところ。
1(Teacher)はフランスのテレビ番組に出演したときの映像で口パク。ただし曲がフルートのないオルタナティブバージョンである。ムチ(?)をマーティン・バーに振り回すイアン・アンダーソンがなんとも・・・。メンバーはアンダーソン、バー、グレン・コーニック、クライヴ・バンカー。ジョン・エヴァンが加入する直前。
2(The Witch's Promise)は英国BBCが誇る音楽番組TOP OF THE POPS出演時のもの。やはり口パク。後ろで無表情で踊っているエキストラが気になる。メンバーは1(Teacher)と同じ。
3(The Story of the Hare Who Lost His Spectacles)は、「A PASSION PLAY」のライヴで放映するために製作されたものである。リマスター盤の「A PASSION PLAY」にもボーナス映像として入っているが、あれよりもやや短い。曲は"A Passion Play"の中間セクションの小劇に当たる部分。歌詞がそうであるように動物たち(きぐるみ)が登場するのだが、ナレーターをジェフリー・ハモンド(眼鏡着用)が担当。内容は2人の少女バレリーナが登場するのだが・・・う〜ん、うまく説明できません。見て下さい。JETHRO TULLがなぜ世界的な名声を得たのか、そしてなぜ日本ではマイナーなままなのか、何となく分かるはずです。実に英国的で最高。こういうロックバンドはやはりもう現れないだろうな。
4(Aqualung)はBBCのSight&Soundに出演したときのもので、手元の資料によると1977年2月19日ロンドンでのライヴ。この時の映像の完全版は数年前にWOWWOWで放映されたことがあり、結構出回ってます。この日の"Locomotive Breath"は25thBOXのDisk4にも収録されている。メンバーはアンダーソン、バー、ジョン・エヴァン、バリー・バーロウ、ジョン・グラスコック、デイヴィッド・パーマー。
5(Kissing Willie)、6(Rocks on the Road)はプロモ。5(Kissing Willie)はヒワイな世界を演出しております。中世風の時代設定は良いとしてラストは??6(Rocks on the Road)はやっぱり良い曲だ。しんみりきます・・・
7(Living in the Past)は25周年ツアーからのライヴ。フルートに重点を置いたニューアレンジで、個人的にはこっちの方が好き。ヴォーカルはオーヴァーダブっぽい。
これ以外の映像は完全版ではない。上記インデックスの後半部分の解説。
1(Nothing Is Easy)はワイト島フェスに出演したときのもの。なんでちょん切っちゃうの!? この時の映像は後に独立してリリースされたがそちらの方が画質が良い。
7(Minstrel in the Gallery)は1975年パリでのライヴだが当時プロモ用に撮影されたらしい。これもなんで後半部分を・・・ 見たい方はブートヴィデオをお求め下さい(少々カットが違う)。推測するにこの日はこの曲以外も撮影されてると思う。少なくともライヴレコーディングはされている。25周年BOXに収録されている"Passion Play Extract"は1975年パリでのライヴとクレジットされているから。このころがJETHRO TULLが最も脂がのった時期か。
10(Thick As A Brick)、11(Songs from the Wood)、12(Too Old to Rock 'N' Roll: Too Young to Die)は「SLIPSTREAM」、「20周年ヴィデオ」で既出。9(Thick As A Brick)は前半が25周年ツアーのリハーサル時の演奏で、シームレスに10(Thick As A Brick)につながる。DVDでは11(Songs from the Wood)のクレジットがロンドンになっているが間違いで、正しくはLAである。
14(Rehearsals for the 25th Anniversary)は25周年ツアーのリハーサルの演奏で、クレジットにはないが"God Rest Ye Merry Gentlemen"をプレイしている。
16(A New Day Yesterday)は25周年ツアーのライヴで後半部分を収録。やはりアレンジが変えられているが最高の演奏を見せて(聴かせて)くれる。
インタビュー部分が多いので英語が分からない人にはつらいと思うし、「20周年ビデオ」に比べればライヴ映像のレア度もやや落ちるが、持ってて損はないと思う。
DVDになったこの機に買いましょう。
しかしDVDのサブタイトル、1969-1994って1年ズレてるんだけど・・・
j-tull.jp