NOTHING IS EASY:LIVE AT THE ISLE OF WIGHT
/ ナッシング・イズ・イージー -ワイト島ライヴ・1970-

ビデオアーツ VACM-1256(紙ジャケ)

NOTHING IS EASY:LIVE AT THE ISLE OF WIGHT

  1. My Sunday Feeling
  2. My God
  3. With You there to Help Me
  4. To Cry You A Song
  5. Bouree
  6. Dharma for One
  7. Nothing Is Easy
  8. Medley:We Used to Know〜For A Thousand Mothers


All songs written by Ian Anderson
Except : 5. J.S.Bach, arr. Ian Anderson
6. Ian Anderson / Clive Bunker

Ian Anderson -- vocals, fute, acoustic guitar
Martin Barre -- electric guitar
Clive Bunker -- drums
Glen Cornick -- bass
John Even -- keyboards


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出る出ると長らく噂されていたライヴ盤が2004年遂にリリース。あの、伝説の1970年のワイト島フェスティバルでのライヴである。
一部はこれまでオムニバス盤等でお目見えしていたが、ようやく完全盤がこうして日の目を見ることになった。
サードアルバム「BENEFIT」リリース後のライヴで、ラインナップは
イアン・アンダーソン(ボーカル、フルート、アコースティックギター)、クライヴ・バンカー(ドラム)、グレン・コーニック(ベース)、マーティン・バー(エレクトリックギター)、ジョン・エヴァン(ピアノ、オルガン)
次作「AQUALUNG」にて世界的成功を収める寸前の姿を捉えたライヴ、ということになる。

JETHRO TULLのこの時期のライヴは、有名な「カーネギーライヴ」(「25周年BOX」収録)があるので、まあ、ファンとしてはそれほど待望していたというわけではない。それよりも、"絶頂期"とされる「AQUALUING」から「WARCHILD」にかけての音源・映像が全くオフィシャルリリースされていないというのはどういうわけなのか・・・
それはさておき、本作を「カーネギーライヴ」と比較してしまうのは致し方ないでしょう。
結論から言うと、イアン・アンダーソンも認めている通り、本ライヴはJETHRO TULLとしては満足の出来というわけではないだろう。正直、「カーネギーライヴ」と比べるとやや出来が劣る。

MCに導かれて始まる1(My Sunday Feeling)は、「THIS WAS」の冒頭を飾った名曲。マーティン・バーの不安定、というかむしろボロボロなギターはこの時期ならでは。初期のライヴを聴く限り、ミック・エイブラハムズの後任に何でこの男が採用されたのか理解に苦しむ。その後別人のように成長するが・・・。ジョン・エヴァンの妙に浮いてるピアノも聞こえる。仲間外れにならないように無理矢理弾いている感じだ。
次の2(My God)に入るまでのMCは若干カットされている。2(My God)は、次作「AQUALUNG」に収録されることとなる新曲。歌詞がやや異なる。どちらかというとフルートソロ用の曲だが、ここでは比較的短くまとめられている。
3(With You there to Help Me)でようやく当時の新作「BENEFIT」からの曲。ジョン・エヴァンのピアノを前面に出すことにより、スタジオ盤よりもドラマティックになっている。後半はジョン・エヴァンのピアノソロのためのセクション"By Kind Permission of"が挿入される。「カーネギーライヴ」ではこの"By Kind Permission of"はオミットされていたため、ここでの"With You there to Help Me"は"By Kind Permission of"付の完全版ということになる。
4(To Cry You A Song)も「BENEFIT」より。マーティン・バーのギターもだんだん調子が出てきている。
5(Bouree)は「STAND UP」収録の有名曲だが、初期のライヴでこうして完全版で演奏されるのは珍しいのではないだろうか。イアン・アンダーソンのフルートプレイが堪能できるインストだが、中間部でベースソロをプレイするグレン・コーニックが主役である。
6(Dharma for One)は「THIS WAS」より、クライヴ・バンカーのドラムソロのための曲。「THIS WAS」ではインストだったが、ここでは「LIVING IN THE PAST」収録のライヴバージョンと同じく歌入り。ただしこのワイト島ライヴでのバージョンではフルートは入っておらず、「LIVING IN THE PAST」のカーネギーライヴはスタジオでオーバーダビングが施されている可能性が高い。自分が主人公だけあってバンカーは叩きまくっており、おそらく本アルバムで一番調子が良いのはこの男である。
7(Nothing Is Easy)は「STAND UP」からの名曲。すでにDVD「A NEW DAY YESTERDAY」にてさわりが聴けたが、ここでは当然完全収録。だが、「カーネギーライヴ」と比べパワーダウンは否めない。
8(Medley:We Used to Know〜For A Thousand Mothers)は「STAND UP」より。中間部にマーティン・バーのギターソロを挟んでいる。「カーネギーライヴ」には及ばないものの、白熱したクライマックスだ。

リマスターしたとのことだが、元々の録音状態がよろしくなかったようで、特にベースとピアノの音がイマイチ。ベースはところどころ音が割れ、ピアノはサステインがない。大会場でのフェスティバルということでバランスをとることが出来ず、録音状態以前に実際にこういう音を出していたのかもしれない。
また、「カーネギーライヴ」の方が演奏の出来が良いのは明白だが、比較してみると、「カーネギーライヴ」はミックス時にずいぶんとサウンドメイキングに手が加えられているのでは?という気がする。このワイト島ライヴのほうがより当時の生音に近いのではないだろうか。


Note:
日本盤が限定でリリースされたがなぜか紙ジャケ。
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