THE JETHRO TULL CHRISTMAS ALBUM/LIVE - CHRISTMAS AT ST BRIDE'S 2008

THE JETHRO TULL CHRISTMAS ALBUM

THE JETHRO TULL CHRISTMAS ALBUM 2003
  1. Birthday Card at Christmas Ian Anderson
  2. Holy Herald trad,F.Mendelssohn,arr. by Ian Anderson
  3. A Christmas Song Ian Anderson
  4. Another Christmas Song Ian Anderson
  5. God Rest Ye Merry Gentlemen trad,arr. by Ian Anderson
  6. Jack Frost and the Hooded Crow Ian Anderson
  7. Last Man at the Party Ian Anderson
  8. Weathercock Ian Anderson
  9. Pavane G.Faure,arr. by Ian Anderson
  10. First Snow on Brooklyn Ian Anderson
  11. Greensleeved trad,arr. by Ian Anderson
  12. Fire at Midnight Ian Anderson
  13. We Five Kings Rev.J.Hopkins,arr. by Ian Anderson
  14. Ring out Solstice Bells Ian Anderson
  15. Bouree J.S.Bach,arr. by Ian Anderson
  16. A Winter Snowscape Martin Barre
LIVE - CHRISTMAS AT ST BRIDE'S 2008
  1. Weathercock
  2. Introduction: Rev. George Picher/Choir: What Cheer
  3. A Christmas Song
  4. Living in These Hard Times
  5. Choir: Silent Night
  6. Reading: Ian Anderson, Marmion Sir Walter Scott
  7. Jack in the Green
  8. Another Christmas Song
  9. Reading: Gavin Esler, God's Grandeur Gerard Manley Hopkins
  10. Choir: Oh, Come All Ye Faithful
  11. Reading: Mark Billingman, The Ballad of the Breadman Charles Causley
  12. A Winter Snowscape
  13. Reading: Andrew Lincoln, Christmas John Betjeman
  14. Fires At Midnight
  15. We Five Kings
  16. Choir: Gaudate
  17. God Rest Ye Merry Gentlemen/Thick As A Brick



Information

概要
クリスマスにまつわる過去の曲のリメイク、新曲、そしてカヴァーからなる企画盤。2009年にライヴ盤を加えて再発された。

リリース年
オリジナル:2003年

アルバム種別
スタジオ盤&ライヴ盤

メンバー
#15 1995-2006: THE JETHRO TULL CHRISTMAS ALBUM
Vo,Flute,G etc. G B Ds Key
Ian Anderson
イアン・アンダーソン
Martin Barre
マーティン・バー
Johnathan Noyce
ジョナサン・ノイス
Doane Perry
ドーン・ペリー
Andrew Giddings
アンディ・ギディングズ
And guests; Dave Pegg on bass and James Duncan on drums.

#16 2007-present: LIVE - CHRISTMAS AT ST BRIDE'S 2008
Vo,Flute,G etc. G B Ds Key
Ian Anderson
イアン・アンダーソン
Martin Barre
マーティン・バー
David Goodier
デイヴィッド・グーディア
James Duncan
ジェイムズ・ダンカン
John O'Hara
ジョン・オハラ
And guests; St Bride's Church Choir and others.

個人的評価


THE JETHRO TULL CHRISTMAS ALBUM

2003年にリリースされた、クリスマス向け企画盤。企画盤、というのは、クリスマスに関わる旧曲のリメイク、カヴァー、新曲で構成されており、純然たるスタジオ盤新作とは言いづらいからだ。元々はFUEL2000側のオファーで製作された、という事情もある。
このアルバムでちょっとおかしいのは、現メンバーが勢揃いしてレコーディングされた曲が一曲もない、ということ。
曲によってレコーディングメンバーが異なり、復活のデイヴ・ペグとジェイムズ・ダンカンが穴を埋めている。

気になる新曲は1(Birthday Card at Christmas)、7(Last Man at the Party)、10(First Snow on Brooklyn)の3曲。1(Birthday Card at Christmas)はイアン・アンダーソンのソロアルバム「RUPI'S DANCE」のボーナストラックだった。重厚なストリングスを導入した10(First Snow on Brooklyn)はいかにもなTULLスタイルの曲だ。ただ、これらの新曲はTULLにしてはそれほどの出来ではないのが残念。

リメイクは、クリスマスをテーマにして選曲しただけあってちょっと地味。
3(A Christmas Song)はシングル"Love Story"のB面だが、現在はリマスター盤「THIS WAS」のボーナストラックとして聴ける。デイヴ・ペグがマンドリンで参加。
4(Another Christmas Song)もデイヴ・ペグが参加。「ROCK ISLAND」収録曲で元々ペグがベースを弾いていたからやり易かっただろう。雰囲気は違うけど、3(A Christmas Song)とは兄弟曲という位置付けかな。
5(God Rest Ye Merry Gentlemen)はスタジオ盤に収録されたことはないが、ライヴで頻繁に演奏されているのでファンにはなじみのある曲。「LIVE BURSTING OUT」にも収録されている。
選曲として特筆すべきなのが6(Jack Frost and the Hooded Crow)で、これは元々は「THE BROADSWORD AND THE BEAST」レコーディング時のアウトテイク。「20周年ボックス」でしか聴けなかったレアトラックだ。マンドリンとシンセという組み合わせが「THE BROADSWORD AND THE BEAST」らしくて良い。
10(Fire at Midnight)は「SONGS FROM THE WOOD」より、8(Weathercock)は「HEAVY HORSES」より。あんまり特筆すべきアレンジはないです。
14(Ring out Solstice Bells)は「SONGS FROM THE WOOD」より。当時シングルカットされてマイナーヒットに終わった。
15(Bouree)は「STAND UP」より。クリスマスとは関係なさそうだが・・・。かなり変則的なアレンジをされていて楽しめる。リメイクするからにはここまで期待を裏切られると嬉しい。

その他はカヴァー曲。大体はクリスマスに関係ある曲のようだ。曲によってはアレンジが行き過ぎたのか改作扱いのものもある。
2(Holy Herald)はトラッドの"The Holly and the Ivy"とメンデルスゾーン作の賛美歌"Hark! the Herald Angels Sing"を合わせた曲。
9(Pavane)はフォーレ作の有名曲。仏語読みで"パヴァーヌ"。
11(Greensleeved)は"Greensleeves"の改作。どうせならリッチー・ブラックモアをゲストに迎えたらよいのに・・・と思ったりもするが、イアン・アンダーソンにとってJETHRO TULLのギターリストはマーティン・バー以外に考えられないのだろう。
13(We Five Kings)はJ.H.ホプキンス作の賛美歌"We Three Kings"の改作。メンバーが5人なので、こういうタイトルに変更したんだろうが、ドラムはドーン・ペリーではなくてジェイムズ・ダンカンだったりする。
一応、それなりに聴いたことがあるような曲が並んでます。欧米ではわれわれが考えているよりメジャーな曲なんだろうな
しかし、賛美歌をカヴァーするんだったら、"Hymn 43"を是非リメイクしてほしかったが・・・あまりに皮肉めいた歌詞なので正式な賛美歌と並べるのはさすがに不遜だったか?

最後の16(A Winter Snowscape)はマーティン・バーのソロアルバム「STAGE LEFT」収録曲のJETHRO TULLバージョン。確かに曲名がクリスマスっぽいですな。

ジャケットは当初はこれの予定だったが、なぜか変更された。改変された現ジャケットでは左下に「RUPI'S DANCE」のイアン・アンダーソンがいる。

また、2004年にはDVD付バージョンが限定再発された。DVDは「LIVING WITH THE PAST」から"My Sunday Feeling""Jack-in-the-Green""Life Is A Long Song"を収録。それ以外に特筆した違いはない。ジャケットを変えるとか、もっと工夫がほしかった。

LIVE - CHRISTMAS AT ST BRIDE'S 2008

2008/12/22にロンドンのセントブライズ教会で催されたクリスマスチャリティコンサートにおける特別ライヴを収録したライヴ盤である。この年は結成40周年にあたるので40周年ライヴといえなくもない。2009年に上述のTHE JETHRO TULL CHRISTMAS ALBUMの再発に合わせてカップリングされた。

ライヴは、クリスマスソングを主体にしたアコースティックライヴに、ゲストによる詩の朗読や聖歌隊の歌が挿入される形式となっている。そういう趣向なので、いわゆる代表曲はあまりプレイされておらず、コレクター向けといえる。そんな中面白いのは4(Living in These Hard Times)。ちょうど30年前の1978年のHEAVY HORSES / 逞しい馬のアウトテイクで特段クリスマスには関係ない曲のはずだが、昨今の経済状況を鑑みて取り上げられたようだ。

ゲストは、主催者のGeorge Pitcher(ジョージ・ピッチャー師)、ジャーナリストのGavin Esler(ガヴィン・エスラー)、作家のMark Billingham(マーク・ビリンガム)、そして俳優のAndrew Lincoln(アンドルー・リンカン)。また、この教会の聖歌隊も参加している。Pitcherはライナーノーツも書いており、かなりのロック好きとみた。ちなみにEslerはBBCの番組によく出演するコメンテーターで、TULLにゲスト参加していたヴァイオリニスト、Anna Phoebe(アナ・フィービ)の彼氏でもある。LincolnはIan Andersonの娘婿。

かつてAQUALUNGでキリスト教を皮肉ったことのあるJETHRO TULLだが、40年近くも経つといろいろと丸くなるらしい。この場では"My God"、"Hymn 43"、"Wind Up"といったあたりは無かったことにされているのだろうか?

"My God"で"The bloody Church of England -- in chains of history --"と歌ったIan Anderson。ここセントブライズ教会は英国国教会です。ま、仕掛け人のGeorge Pitcherは笑って許してくれそうなユーモアの持ち主のようだけど。


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