THE VERY BEST OF
EMI/Chrysalis 32614 (EU)
東芝EMI TOCP-65878

- Living in the Past
- Aqualung
- Sweet Dream
- The Whistler / 森の笛吹き
- Bungle in the Jungle
- The Witch's Promise / 魔女の約束
- Locomotive Breath / 蒸気機関車のあえぎ
- Steel Monkey
- Thick As A Brick / ジェラルドの汚れなき世界
- Bouree
- Too Old to Rock 'N' Roll: Too Young to Die (Edited Version) / ロックンロールにゃ老だけど死ぬにはチョイと若すぎる(エディテッド・ヴァージョン)
- Life Is A Long Song / 人生は長い歌のようなもの
- Songs from the Wood / 神秘の森
- A New Day Yesterday
- Heavy Horses (Edited Version) / 逞しい馬(エディテッド・ヴァージョン)
- Broadsword
- Roots to Branches
- A Song for Jeffrey / ジェフリーへ捧げし歌
- Minstrel in the Gallery (Edited Version) / 天井桟敷の吟遊詩人(エディテッド・ヴァージョン)
- Cheerio
All songs were written by Ian Anderson except "Aqualung" by Ian Anderson & Jennie Anderson, "Bouree" by Johann Sebastian Bach & Ian Anderson
24 bit Digitally Remastered by Ian Anderson




-- Highly Recommended !
2001年発表。出る出ると長い間噂されかつ熱望されていたTULLのデジタルリマスターシリーズの口火を切ったのはこのベスト盤だった。以前からEMIはTULLのカタログをリマスターしたがっていたのだが(そりゃそうだ。TULLほどのビッグネームならば確実な売上が見込めるのだから。)、イアン・アンダーソンは24bitリマスター技術が登場するまで断り続けていたという経緯がある。(もっとも超ベストセラー「AQUALANG」と「THICK AS A BRICK」のリマスター再発は許しているが、アンダーソン自身がリマスタリングを手がけたわけではない。)
楽曲はChrysallis在籍時代、すなわち1968年の「THIS WAS」から1995年の「ROOTS TO BRANCHES」までのアルバムより計20曲が精選されている。まんべんなくというわけではなく、やはりバンドの全盛期だった70年代の曲が圧倒的に多いが・・・当然ながら音質は格段にアップしている。一枚物でとっつきやすいので、初心者はこのアルバムから入ると良いだろう。
では手短に全曲解説。(「25周年ベスト」の文章をほとんど流用してるけど。)
1(Living in the Past) -- 「LIVING IN THE PAST」収録。マーティン・バー加入後初のレコーディング曲でシングルリリースされ全英第3位と大ヒットした。海外ではオールディーズ化しているほどの人気曲。
2(Aqualung) -- 「AQUALUNG」収録。何も言うことはありませんね。永遠の名リフです。アコースティックとエレクトリックのコントラストが絶妙だが、マーティン・バーのギターソロも名演。代表曲だがフルートは入っていない。
3(Sweet Dream) -- 「LIVING IN THE PAST」収録。シングルリリースされ全英第9位と大ヒットした曲。デイヴィッド・パーマーによるオーケストラアレンジが印象的。ライヴではマーティン・バーのヘヴィなギターがフィーチャーされ、ハードロックなアレンジによみがえっている。
4(The Whistler) -- 「SONGS FROM THE WOOD」収録。プロモフィルムも作られた。タイトルどおりWhistleがフィーチャーされ、もちアンダーソンが吹いている。狂おしいほどトラッド。
5(Bungle in the Jungle) -- 「WARCHILD」収録。シングルカットされ米ではトップ20に入るヒットとなったポップな佳曲。JETHRO TULL風歌謡曲だ。
6(The Witch's Promise) -- 「LIVING IN THE PAST」収録。"Teacher"(本作未収録)とカップリングでシングルリリースされ全英第9位と大ヒットした。「BEAT CLUB」等のプロモ映像が残っているので日本でも比較的知られている曲だと思う。当時本物ストリングズを採用していたTULLには珍しく、メロトロンがフィーチャーされている。
7(Locomotive Breath) -- 「AQUALUNG」収録。何も言うことはありませんね。永遠の名リフですその2。ヘヴィなリフもさることながら、皮肉たっぷりの歌詞、下品なフルートソロ、すべてがJETHRO TULLである。超代表曲。
8(Steel Monkey) -- 「CREST OF KNAVE」収録。「グラミー賞/もらって恥ずかし/ヘビメタ部門」。。。この曲はシンセと打ち込みドラムがフィーチャーされてはいるがハード路線が復活しファンには人気が高い。シングルリリースされたがジャケは「見猿聞か猿言わ猿」だった・・・誰か何とかしろぉ!なお、プロモビデオではデイヴ・マタックスがドラムを叩いており、貴重。
9(Thick as A Brick) -- 「THICK AS A BRICK」収録、というかアルバム1枚に及ぶこの超大曲の最初のアコースティックパートの抜粋。この名曲に関してはアルバムを買ってください。
10(Bouree) -- 「STAND UP」収録。イアン・アンダーソンのフルートを全面的にフィーチャーした有名なインスト曲。原曲はJ・S・バッハの「リュート組曲」で、JETHRO TULLの数少ないカバー曲。グレン・コーニックの印象的なベースソロにも注目。
11(Too Old to Rock'n'Roll:Too Young to Die) -- 「TOO OLD TO ROCK 'N' ROLL:TOO YOUG TO DIE!」収録。JETHRO TULL風歌謡曲の典型。歌詞も演歌っぽいよなあ。本作では中間部がカットされている。
12(Life's A Long Song) -- 「LIVING IN THE PAST」収録。はじめEPとしてリリースされ、全英第13位のヒットとなった。デイヴィッド・パーマーによるストリングズをフィーチャーしたアコースティック曲。歌詞にも注目。
13(Songs from the Wood) -- 「SONGS FROM THE WOOD」収録。ジョン・グラスコックを迎えてリズムセクションが鉄壁の布陣となったこともありこのころからリズムアレンジにこれまで以上に凝りだした。震えるほどトラッドの薫りのする超名曲。
14(A New Day Yesterday) -- 「STAND UP」収録。ヘヴィなリフが特徴的。その渋さがあまりにカッコよすぎるJETHRO TULL風ブルースロックの典型。
15(Heavy Horses) -- 「HEAVY HORSES」収録。JETHRO TULL史上屈指の名曲である。一分の無駄も隙もない完璧な展開・演奏はJETHRO TULLの最高潮の姿を映し出している。。。はずだが、本作ではイントロや中間部のオイシイ部分がばっさりカットされている。やっぱりトラッド。
16(Broadsword) -- 「THE BROADSWORD AND THE BEAST」収録。シンセの導入が成功した重厚な佳曲。こういう曲なら保守的なファンも納得するだろう。
17(Roots to Braches) -- 「ROOTS TO BRANCHES」収録。フルートの音色が90年代になってエスニックになった音楽性を象徴している。初期の曲と比べて聴くと、ボーカルの衰えをカバーするためにフルートプレイに磨きがかかっていることが分かるだろう。
18(A Song for Jeffrey) -- 「THIS WAS」収録。初期の代表曲で現在でもライヴのレパートリーに含まれることがある。Jeffreyとは後にメンバーとなるジェフリー・ハモンドのこと。
19(Minstrel in the Gallery) -- 「MINSTREL IN THE GALLAREY」収録。本作では前半の弾き語りと中間部のインストがばっさりカットされている。こっちの方がすっきりしていて良い感じかも。歌詞の主人公は例によってアンダーソン自身だ。
20(Cheerio) -- 「THE BROADSWORD AND THE BEAST」収録。最後はイアン・アンダーソン船長のメッセージで締めくくる。う〜ん、中身の濃い1枚でした。
本作は日本盤もリリースされ、歌詞対訳及び解説が付いている。んが、(当サイトのBBSでも指摘があったが)ちょっとこのライナーにはひどい部分がある。
まず、「唯一の来日公演」とあるが、実際には3回来日している。
次に「95年の最新作」とあるが、本作がリリースされた時点での最新作は1999年の「DOT COM」だ。
そして、「これまでにも76年発表の『M.U.〜(略)」を皮切りに、各種ベストやコンピレーションを出してきた」云々とあるが、ベスト&コンピレーションの皮切りは1971年の「LIVING IN THE PAST」である。大体、「初期を代表する名作でベスト&ライヴという(中略)『リヴィング・イン・ザ・パスト』」と後述されているのに一貫性がない。
びどいのは、「78年に出したシングルのカップリングナンバーだった地味な12曲目」とあり、事実としては間違いないのだが、"Life Is A Long Song"は元々は1972年にリリースされたEPのタイトルトラックで、英では13位まで昇ったヒット曲である。帯に「シングルB面のレアトラックまで収録」とあるのはこの文章が背景にありそうだ。繰り返し言うが"Life Is A Long Song"は地味なレアトラックではなくれっきとした代表曲のひとつである。
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