All Songs written by Ian Anderson except 2 by Jennie & Ian Anderson and 3 by Ian Anderson & Gerald Bostock
*2 and 5 are different mix version, except Japanese Remastered Edition
PRODUCTION BY IAN ANDERSON AND TERRY ELLIS
Orchestrations Arranged and Conducted by David Palmer
私的アオリ
1976年発表。全英第44位。全米第13位。JETHRO TULL初の純粋なベスト盤で、「STAND UP」から「WARCHILD」までのアルバムから選曲されている。
日本独自のリマスター盤が出ているが、後述の理由によりオススメできない。買うなら輸入盤である。
選曲は偏っておらず申し分ない。とはいえCD時代の現在では曲数が足りないと感じるのは仕方がなく、せっかく再発するのだから「REPEAT:THE BEST OF JETHRO TULL VOLUME II」と合わせて一枚物にするくらいの工夫がほしかった。
本作の聴きどころは未発表曲、10(Rainbow Blues)である。なかなか良い曲だ。Ian Anderson(イアン・アンダーソン)のフルート、Barriemore Barlow(バリモア・バーロウ)のドラムが素晴らしい。「WARCHILD」のアウトテイクということでDavid Palmer(デイヴィッド・パーマー)の大仰なストリングスアレンジが施されている。これは隠れた名曲に挙げても良いと思う。が、「WARCHILD」のリマスター盤にボーナストラックとして収録されたので、わざわざこの曲だけのために本作を購入する意味はなくなった。
ちなみに、Ritchie Blackmore(リッチー・ブラックモア)のBLACKMORE'S NIGHTが「GHOST OF A ROSE」でこの曲のカヴァーをやっている。こちらは変態さを抑えたマイルドな仕上がり。
その他、まあマニア向けとして若干の趣向がある。
まず永遠の名曲2(Aqualung)、アンダーソンのアコギとヴォーカルのテイクが違い、ミキシングも異なる。オリジナルのバージョンよりも音質が良い。
代表曲の5(Locomotive Breath)もテイク違い。ライヴでおなじみの、「最後のサビでバックがブレイク」のバージョンが聴ける。個人的には感涙。何で「AQUALUNG」アルバムでこっちを採用しなかったのだろう。
なお、日本盤リマスターでは通常のミックスが使われておりこの聴き所はないので注意されたい。
他に、3(Thick As A Brick Edit #1)はアコースティックパートが終わるところで強引に4(Bungle in the Jungle)に接続。ここまでしなくても・・・
8(A Passion Play Edit #8)は"The Foot of Our Stairs"のアコギ弾き語りが終わったところ以降。この曲は全体を通して聴くと取っ付きにくいが、こうしてひとつひとつのピースを取り出すと結構分かりやすい。次作「WARCHILD」で楽曲がコンパクト化するが、特に不自然なことではなかったのである。
タイトルの「M.U.」は"Musicians' Union"の略。本作発表に先立ち、過去のメンバーを集めた同窓会パーティが行われ、アナログ盤と「25周年ボックス」のブックレットにもには皆がテーブルを囲んで歓談する写真が収められている。・・・が、一人足りない。そう、Mick Abrahams(ミック・エイブラハムズ)が欠席しているのである。いや、正確には欠席ではなく招待すらされなかったのだ。おそらくその確執のために、本作では「THIS WAS」からは一曲も選ばれてない。
j-tull